2017年07月28日

今週の注目疾患   平成29年・29週(7月17日~7月23日)

【日本紅斑熱】
2017 年第 29 週に県内医療機関から 1 例の日本紅斑熱の届出があった。2017 年は第 29 週までに合わせて 5 例の届出を認めている。日本紅斑熱はダニ媒介感染症の一つであり、本邦で発生が確認されているダニ媒介感染症には、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、回帰熱やライム病、またダニの一種であるツツガムシが媒介するつつが虫病などがある。
SFTS やダニ媒介脳炎の県内での発生はこれまでないが、日本紅斑熱とつつが虫病については、毎年県内でも発生が報告されている。日本紅斑熱の原因菌は Rickettsia japonica であり、患者の届出は春から秋にかけて認め、マダニの活動期と一致する。特に 7 月前後が発生のピークとなっている。
主症状として発熱、ダニの刺し口、発疹が主要三徴候であり、その他頭痛や倦怠感といった症状、CRP の上昇や肝酵素(AST、ALT)の上昇といった検査所見を認めることが多い。
2006年以降、県内医療機関から 56 例の日本紅斑熱の届出があり、56 例の患者の年齢中央値は 71 歳(範囲;18-94 歳)、性別は男性 26 例、女性 30 例であった。推定感染地域は房総半島南部となっており、報告が多かったのは鴨川市(10 例)、勝浦市(10 例)、君津市(9 例)、夷隅郡大多喜町(8 例)や夷隅郡(4 例)であった。
治療の第一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬であり、ニューキノロン系抗菌薬が有効であるとの報告もある(つつが虫病には無効)。βラクタム系抗菌薬は無効である。予防はダニに刺されないことが第一であり、農作業や山野などに入るときは長袖・長ズボンを着用し肌の露出を少なくすることや、ジエチルトルアミド(DEET)を主成分としたダニ忌避剤を適切に利用してダニの付着を防ぐこと、帰宅後はすぐに入浴し新しい着衣に着替えることが推奨される。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年7月26日更新)