2017年07月14日
今週の注目疾患 平成29年・25週(6月26日~7月2日)
今週の注目疾患 平成29年・27週(7月3日~7月9日)
【咽頭結膜熱】
咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever, PCF)は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症である。
咽頭結膜熱の報告は 5、6 月頃から徐々に増加しはじめ、7 月前後にピークを形成することが多い。
また冬季にも夏季ほどではないが報告数の増加を認める。
2017 年は全国的にも咽頭結膜熱の報告が多くなっており、県内においても定点医療機関(小児科定点医療機関)から報告される咽頭結膜熱は第 27 週に定点当たり 1.39 人となり、報告数が多い状態で推移している。
定点当たり報告数の多い上位 3 保健所は野田保健所(3.25 人)、君津保健所(2.75人)、柏市保健所(2.67 人)であった(図 1)。
過去、2006 年と 2011 年にも本年と同様に定点当たり報告数が 1.00 人を超える週を認め、それぞれの年のピークは 2006 年は第 30 週(定点当たり 1.50 人)、2011 年は第 28 週(定点当たり 1.52 人)であった(図 2)。
2017 年第 1~27 週に報告された患者について、年齢は 1 歳が最も多く(26.6%)、次いで 3 歳(14.0%)、2 歳(13.8%)であり、性別は男性が 56.8%とやや多かった(図 3)。
咽頭結膜熱の感染経路は、通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道からの感染である。
プールを介した場合には、汚染した水から結膜への直接侵入と考えられている。
特異的治療法はなく、対症療法が中心となる。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要になることもある。
予防としては、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどである。
消毒法に関しては、逆性石鹸、イソプロパノールには抵抗性なので注意を要する。
例年、第 30 週前後に報告は減少を示すようになるが、今後も動向に注意が必要である。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年7月12日更新)