今週の注目疾患   2021年 17週(2021/4/26~2021/5/2)
【今週の注目疾患】

【カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症】
 2021年第17週に県内医療機関からカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(Carbapenemresistant Enterobacterales: CRE)感染症が 1 例報告された。
患者は 80 代の男性で採取検体(検体種別不明)から K. pneumoniae が検出された。
本年の CRE 感染症患者の累計は 15 例となった。
性別では男性が 9 例/15 例(60%)で男性が多く、年齢中央値は 76 歳(範囲 52 歳-95 歳)で、およそ 9 割(13 例/15 例)が 60 代以上の高齢者の症例であった。
菌種別では K. aerogenes が 5 例/15 例(33%)で最も多く、次いで K. pneumonia が 4 例/15 例(27%)であった。
 これまでのところ、2019 年、2020 年とほぼ同程度の発生数で推移している。
死亡例は確認されていない。

 CRE はカルバペネム系抗菌薬を含む多くの抗菌薬に対し耐性を示す細菌であり、それにより引き起こされる感染症は腹腔内感染症、尿路感染症、敗血症など様々な感染症をおこし、時に致命的になる。
CRE は様々な機序で薬剤耐性になるが、カルバペネマーゼを産生する腸内細菌目細菌(Carbapenemase-producing Enterobacterales: CPE)の場合、プラスミド上にあるカルバペネマーゼ耐性遺伝子が菌種を超えて伝播する可能性があり、早期発見と拡散防止が公衆衛生上重要である。

 今回検出された菌種の K. pneumoniae は 2018 年の国の病原体サーベイランスにおいて、CRE 検体中の約 4 割からカルバペネマーゼ遺伝子(IMP 型)が確認されたとの報告がある 1)。
早期発見のため、カルバペネマーゼ耐性遺伝子の発見が必要となるが、国では平成 29 年 3 月の通知「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症等に係る試験検査の実施について」2)において、CRE 感染症患者の発生届出が医療機関からあった際に、当該患者の検体の提出を求め、地方衛生研究所等で試験検査を実施することとしている。
また、平成 26 年 12 月に国から発出された通知「医療機関における院内感染対策について」3)では、CRE 感染症は保菌者も含め 1 例目の発見をもってアウトブレイクに準じた厳重な感染対策を実施するよう求めており、院内感染制御チーム(ICT)を中心に手指衛生、適切な個人防護具(PPE)着脱等の標準予防策や接触予防策の徹底、発生探知時の隔離や周辺の接触者や環境等へのスクリーニング検査の実施、患者転院(退院)時における十分な情報提供等の対策を行っていくことが拡散防止の観点で重要となる。

≪引用・参考≫
1 ) カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 腸 内 細 菌 科 細 菌 ( Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae:CRE)病原体サーベイランス,2018 年(国立感染症研究所)
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2)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症等に係る試験検査の実施について(厚生労働省通知_平成 29 年 3 月 28 日健感発 0328 第 4 号)
3)医療機関における院内感染対策について(厚生労働省通知_平成 26 年 12 月 19 日医政地発 1219 第 1 号)


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年5月7日更新)