今週の注目疾患   2021年 8週(2021/2/22~2021/2/28)
【今週の注目疾患】

【RS ウイルス感染症】
 2021 年第 8 週に県内小児科定点医療機関から報告された RS ウイルス感染症の定点当たり報告数は、0.04 人であった。
県内では 2020 年第 43 週以来となる複数の患者報告を認めた。
県内における RS ウイルス感染症の発生動向に関して、2015 年までは 12 月に最も報告が多い傾向にあり冬季の流行が示唆されていたが、2016 年以降は報告のピークを夏~秋に認めるようになった。
同様の動向変化は全国でも認められていたが、現在、九州地方および東北地方の一部自治体などにおいてRSウイルス感染症が過去同時期と比較して多くなっていることが報告されており、県内においても今後の本症の発生動向の推移に注意が必要である。
 急性呼吸器感染症である RS ウイルス感染症は、乳幼児に多く認め、生後 1 歳までに半数以上が、2 歳までにはほぼ 100%の人が RS ウイルスの初感染を受けるとされている。
感染経路は飛沫や接触感染であり、2~8 日(典型的には 4~6 日)の潜伏期間を経て発症する。
症状は軽い風邪様症状から重症の肺炎までと幅広いが、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初感染した場合は、細気管支炎や肺炎といった症状を引き起こし重症化することがある。
また心肺系の基礎疾患や免疫不全を有する小児において重症化のリスクがあり注意が必要である。
年長の児や成人において再感染時に顕性感染を認めることがあるが重症化することは少ない。
ただし、高齢者においては本症による介護施設等での集団発生も報告されており、慢性呼吸器疾患や心疾患等の基礎疾患を有する高齢者においては重症化のリスクがあり注意が必要である。
予防には適切な飛沫感染や接触感染に対する感染予防策を講じることが必要である。
飛沫感染対策としてのマスク着用(ただし、RS ウイルスは目の粘膜からも感染しうると考えられている)や咳エチケットは重要である。
なによりも手洗いといった基本的な手指衛生を徹底することが重要である。
なお、RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制のため、早産児、気管支肺異形成症や先天性心疾患等を持つハイリスク児などを対象に、RS ウイルス感染の重症化予防のため、ヒト化抗 RSVF 蛋白単クローン抗体であるパリビズマブの公的医療保険の適用が認められている。
流行には地域的な違いが見られることもあるため、県レベルでの定点当たり報告数推移とともに、地域での発生状況についても注視していく必要がある。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年3月3日更新)